2019.11.17

起立性調節障害、薬に頼りすぎてこじらせてしまうことも中3男子の例

燦々堂

起立性調節障害を早く治したいと思い、いくつもの診療科を受診して多くの薬を飲み、その結果、改善しないばかりか、かえって症状をこじらせてしまう場合があります。
今回はそのようなこじらせてしまった中学3年生の男子、R君の例を紹介します。

R君は小学生の頃から体調の悪さがあり、起立性調節障害と診断されて薬を飲んでいましたが改善しなかったそうです。
中学3年生になり症状が悪化して、ずっと頭痛がひどくて、朝も起きられず、学校もまともに行けない生活が続いているということです。
中学3年生で受験を控えている時期でもあり、お母さんは「早くなんとかしたい」ととても焦っておられます。

私の所に相談に来られたのは最近のことですが、これまでいくつもの病院、診療科を受診して、検査して服薬治療をしても良くならず、当院とは別の整体にもしばらく通ってみたものの目立った変化はなかったそうで、「一体どうすれば治るのか・・・」と親子ともいへん憔悴しきっていました。

薬は何種類飲んでいるのかと聞くと、起立性の薬、脳神経の薬、心臓の薬、鎮痛薬、漢方薬など6種類も飲んでいるとのことでした。
（睡眠薬や抗うつ薬などの精神薬に手を出していないのはまだ幸いでしたが）
R君に「そんなにたくさんの薬を飲むのは大変じゃない？」と聞いたところ、薬を飲むのはもうやだと言っていました。
理由は、「飲んでも全然効かないから」です。

「いろんな薬を飲めばどれかが効くのではないか・・・」
お母さんとしては、藁にもすがるような思いで飲ませているのだと思いますが、子どもにこのような多くの薬を飲ませるのは、やはり問題があります。それは薬には副作用があるためです。

R君が先日来た時は「吐き気」がひどくて、非常に体調が悪い状態でした。
私は「体調が悪い時は無理に来ないでいいですよ」と伝えているのですが、この時はお母さんが施術を受けさせたいと無理に連れてきてしまいました。
座っているだけでも気持ちが悪いというので、通常の施術は出来ないので、吐き気を抑える施術だけをして、吐き気が楽になったところでこの日はお帰りいただきました。

「吐き気」というのは自律神経失調症の症状でよくあるものです。
R君も時々吐き気があるということなので自律神経の症状が出ているものと考えられますが、薬の副作用で出ていることも考えられます。
薬の副作用だったとしても、6種類もの薬を飲んでいてはどの薬が原因なのか分かりません。処方したお医者さんでも分からないでしょう。いったい何が原因で症状が出ているのか、誰にも分からなくなってしまうのです。

起立性調節障害は、自律神経が不安定になることが原因で発症します。
薬で治らないのは、自律神経を薬で治すことができないためです。
朝の血圧が低いから血圧を上げる薬、頭痛には鎮痛薬、眠れないから睡眠剤を飲ませても、根本原因である自律神経が回復しないと、いつまでも変わらないのです。

起立性調節障害を「すぐに、早く」治す方法というのは、おそらくありません。
しかし、「少しずつ、ゆっくり」治していくことはできます。

当院の自律神経整体は、自律神経を整えることで「少しずつ、ゆっくり」治していく方法です。
自律神経が不安定になる原因である「骨格筋の過緊張、慢性疲労」をゆるめることで、薬に頼らず「少しずつ、ゆっくり」治していきます。

起立性調節障害を原因から「少しずつ、ゆっくり」治すというのは、時間がかかり、努力も必要であり、簡単ではありませんが、実は一番の近道なのです。

早く治したいと思うあまり、あっちこっちの病院に通って、効果のない薬を飲み続けることで、症状が複雑になってしまい、結局は回復までに長い時間がかかってしまいます。
お子さんのためにちゃんと治したいと願うのでしたら、一時しのぎではなく、焦らずに原因からしっかり治す方法を選択していただけるようお願いいたします。

さて、吐き気で苦しんでいるR君を見て、お母さんは涙ぐみながら、
「薬を飲ませすぎていたのが悪いのかもしれない」
「薬に頼りすぎないように考え直したい」
といったことを話してくれました。
ご自分で薬の弊害に気づいて、考えをあらためたのは素晴らしいことだと思います。
R君の将来のために、時間がかかってもあきらめずに続けて、根本解決をしていただけるよう願っています。